「短歌行」 

対酒当歌 人生幾何        酒に対しては当に歌うべし 人生幾何ぞ 

譬如朝露 去日苦多        譬えば朝露の如し 去日はなはだ多し

概当以慷 憂思難忘        概して当に以って慷すべし 憂思忘れ難し

何以解憂 唯有杜康        何を以ってか憂いを解かん 唯だ杜康有るのみ

青青子衿 悠悠我心        青青たり子が衿 悠悠たる我が心

但為君故 沈吟至今        但だ君が為の故に 沈吟して今に至る

〔口幼〕〔口幼〕鳴鹿 食野之苹  ゆうゆうと鹿は鳴き 野の苹を食む

我有嘉賓 鼓瑟吹笙        我に嘉賓有らば 瑟を鼓し笙を吹かん

明明如月 何時可綴(手偏)    明明月の如きも 何れの時にかとるべけん

憂従中来 不可断絶        憂いは中従り来たりて 断絶すべからず

越陌度阡 枉用相存        陌を越え阡を度り 枉げて用て相存せば

契闊談讌 心念旧恩        契闊談讌し 心に旧恩を念う

月明星稀 鳥鵲南飛        月明らかに星稀にして 鳥鵲南に飛ぶ

繞樹三匝 何枝可依        樹を繞(めぐ)ること三匝 何れの枝にか依るべけん

山不厭高 海不厭深        山高きを厭わず 海深きを厭わず

周公吐〔口甫〕 天下帰心     周公ほを吐き 天下心を帰す


曹操の詩の中でも一二を争う有名なものですね。ちなみに私の大好きな詩の一つです♪曹操
は『詩品』ではやや荒削りだからでしょうか、下品に位置づけられていますが、その力強さ(慷
慨)は中品の曹丕、上品の曹植を遙かに凌ぎます。この詩は実は3つのパートに分かれてい
て、それはおそらく本来独立したものであったという考えが現在の主流です。「青青子衿〜」か
ら、制作年代を求賢令の頃に求めるものもありますが、いづれにせよ宴席で歌われたものだと
思われます。詩経の「子衿」「鹿鳴」からの本歌取りも、当時好評を博したことでしょう。「月明星
稀〜」は蘇軾の「前赤壁賦」にも引かれ(「此非孟徳之困於周郎者乎」が漢文学習必携に載っ
ていてどれだけ嬉しかったか/笑)、『三国志演義』ではこの作品の製作を赤壁前夜とし、敗北
への序曲としています。ただ、このとき斬られた人、半年以上前に死んでるんですけど・・・(怖)

八段落の楽府で四句ごとに韻がわり。





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