「赤壁歌送別」      「赤壁の歌 送別」

二龍争戦決雌雄        二龍争戦 雌雄を決す

赤壁楼船掃地空        赤壁の楼船 地を掃(はろ)うて空し

烈火張天照雲海        烈火天に張(みなぎ)って雲海を照らし

周瑜於此破曹公        周瑜ここに於いて曹公を破る

君去滄江望澄碧        君去って滄江に澄碧を望めば

鯨鯢唐突留余跡        鯨鯢 唐突 余跡を留む

一一書来報故人        一一 書し来たって故人に報ぜよ

我欲因之壮心魄        我れこれによって心魄を壮(さかん)にせんと欲す



杜甫の孔明好きは有名ですが、なんと、あの「詩仙」李白にも三国志を歌ったものがあったの
です。でも「赤壁歌送別」って聞いたことないなぁ、と思ったら何のことはありません。「二龍争
戦」だったんですね(^^;)
李白は盛唐はもちろん中国における史上屈指の大詩人です。「静夜思」の「牀前看月光(牀前
月光を看る)」、「早発白帝城」の「軽舟已過万重山(軽舟 已に過ぐ万重の山)」、「黄鶴楼送
孟浩然之広陵」の「惟見長江天際流(ただ見る長江の天際に流るるを)」などのその一句のす
ごさ、まさに天才です。ここでも「二龍争戦決雌雄」とかっこよく決めちゃってくれました。 

そういえば、六句目の「鯨鯢唐突留余跡」ってちょっと読んだだけでは意味がつかめないです
よね?そこで問題になるのがこの現代語訳なんですけれども「(あなたも今別れて大江のほと
りに至り、碧く澄む水を眺めれば)悪人同士互いに犯しつつ突き当たったその遺跡を認めるだ
ろう」(『NHK漢詩紀行』三 より)
あ、悪人って・・・・(汗)しかも同士か〜そりゃまあやってることは一緒だけれども。(そういうこと
ではない)で、ここで『漢字源』を引いてみますと
「鯨鯢」〔おすのくじらとめすのくじら。転じて、弱いものをいじめる悪人のかしらのこと〕
うぐっ!!かしらじゃないただの悪人なだけマシかも(それもどうだか)しかも出典は『左伝』。勝
ち目なし(TT)

「李絶杜律」と言われるように絶句に天才的な才能を発揮する李太白なのですが、これはちょ
っとなんといったらいいのか、韻はまず「雄」「空」「公」で踏んでから変わって「碧」「跡」「魄」で
再び踏んでいるというちょっと特殊な形式。あるいは七言絶句の二枚組み?同じくお得意の楽
府でもないし・・・・う〜ん?
まあどうでもいいといってしまえば全くそこまでなんですけれども(爆)



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